自分だけの花のタトゥーの選び方

ほぼ毎週のように、保存した写真のフォルダを見せながら、同じような言葉を口にする方がスタジオにいらっしゃいます。「花にしたいのは決まっているんです。でも、どの花が自分の花なのか分からなくて」。この瞬間が本当に好きです。デザインを買いに来たのではなく、自分のものになる何かを探しに来た、ということですから。
なのでこの記事は、真似するためのきれいな花のリストではありません。白紙の状態から「この人にしかならない」と思える一枚になるまで、実際にどうやって花を選んでいくかというお話です。
写真: Niklas Ohlrogge / Unsplash
花からではなく、物語から始める
いちばんよく見かける遠回りは、Pinterestから始めることです。スクロールして、すてきな芍薬(しゃくやく)を見つけて、予約する。そして半年後、タトゥー自体は気に入っているのに、どうしてそれが自分の腕にあるのかは説明できない。
順番を逆にしてみてください。参考画像を一枚も見る前に、質問をひとつだけ。そこに目を落とすたび、何を思い出したいですか。ある人のこと、乗り越えた一年のこと、残しておきたい自分の姿。花はそのあとです。花は入れ物であって、中身ではありません。
この順番で進めると、デザインの作業はぐっと楽になります。目指す先ができるからです。
自分の花を探す、5つの入り口
答えが自然に出てこないときは、いつもこの5つの扉を一緒に開けてみます。ほとんどの方は、このどれかの向こうで自分の花に出会います。
1. 生まれた月
誕生花はいま本当に人気ですが、それには理由があります。この習わしにはとても長い歴史がありますし、食事の席で毎回長い説明をしなくても、ちゃんと自分だけの意味を持たせられます。1月はカーネーション、2月はスミレ、3月はスイセン、4月はデイジーとスイートピー、6月はバラ、7月はラークスパー、9月はアスターと、暦に沿って続いていきます。
誕生花のいいところは、自分だけのものなのに重たくならないところです。意味を知らない人が見ても、絵としてちゃんと成立します。
2. 一緒に連れていきたい人
これはデザインしていていちばん楽しいものです。一輪ではなく、自分をつくってくれた人たちの誕生花を集めて、小さな花束ひとつにまとめます。お母さん、きょうだい、おばあちゃん、パートナー、子ども。ひとりにつき一本です。
うれしいのは、これが自分と一緒に育っていくこと。何年か経ってから家族の花束に一本足したことは一度や二度ではありませんし、最初の構図に余白を残しておけば、あとから足したようには見えません。
3. 何かを変えてくれた場所
そのとき、その場所では何が咲いていましたか。離れてきた町の壁に咲くブーゲンビリア、お寺のプルメリア、はじめてひとりで出かけた旅で見た野の花。場所と結びついた花は、いちばんあたたかいタトゥーになりやすいです。記憶のほうが五感でできていて、花はそこへ戻るための近道にすぎないからです。
4. ただ見ているのが好きな花
それでいいんです。本当に。すべてのタトゥーが記念碑である必要はありません。ひまわりを見るたびに毎回うれしくなるなら、それはもう十分な理由ですし、10年後もきっと好きなままです。理由が、いつか終わるかもしれない一章に結びついていないからです。
5. 乗り越えた季節
つらいことがあった直後にいらっしゃる方もいます。そういうときは、少し頑固なところのある花を選びたくなります。野の花、デイジー、世話をしなくても割れ目から生えてくるような花。つらかったことそのものの象徴を抱えるより、静かに持ち歩けるものになります。
意味は調べていい、でも意味に仕切らせない
候補が決まったら、伝統的にどんな意味があるのかを知っておくのはいいことです。あとから驚かなくてすみます。よく聞かれる花については、人気の花のタトゥーの意味をまとめた記事があります。
ただ、長くこの仕事をしてきた正直な意見を言うと、伝統的な意味は出発点であって規則ではありません。花の象徴は国によって、時代によって、ときには聞く相手によっても変わります。その花があなたにとって特別な意味を持っていて、インターネットがそれに反対しているなら、勝つのはあなたです。肌に残るのは、あなたの理由のほうですから。
その花が naive な一枚になるまで
ここからはスタジオのスタイルの話です。ここが、みなさんが思っている以上に「できること」を変えてくれます。
naiveスタイル(素朴で自由な絵のスタイル)では、植物図鑑のような絵は目指しません。記憶を頼りに自分で描くときのように、やわらかく少し揺れた線で、形はシンプルに、色は実物より少しだけ大胆に描きます。デイジーは太めの白い花びら5枚でいい。バラは丸を3つと葉っぱ1枚でいい。
そこから、実際に役に立つことが2つ出てきます。ひとつ、シンプルにした形は小さいサイズでもきれいに残ります。年月が経ってもにじんで潰れる細かいディテールがないからです。ふたつ、5種類の花が入った家族の花束でもちゃんと読み取れます。それぞれがいちばんその花らしい形まで削られていて、ディテールで競い合わないからです。
少し変わった選択がうまくいくのも同じ理由です。リアルに描くとごちゃごちゃして見える花、たとえば野の花や種をつけかけたハーブは、naiveスタイルではとてもかわいくなります。魅力が正確さではなく、線の表情のほうにあるからです。
予約の前に、実際的なことをいくつか
- 少し余裕をもたせてください。 小さすぎる場所に詰め込んだ花束は、同じデザインでも余白のあるものより歳のとり方がよくありません。構図が気に入っているなら、サイズを少しだけ上げるのがおすすめです。
- 入れる場所は早めに考える。 花の形と、体のその部分の形は、お互いに納得している必要があります。詳しくはタトゥーを入れる場所の選び方の記事にも書いています。
- へたな絵を持ってきてください。 ぜひ。言いたいことの落書き1枚のほうが、誰かの完成された参考画像20枚よりずっと役に立ちます。
- 色は初期設定ではなく、選ぶものです。 鮮やかな色は私たちの得意分野ですが、黒い線の花に色をひとつだけ差したものも同じくらい印象的ですし、そのほうが似合う方もいます。
- ずっと残るものです。 時間が経つとデザインがどうなるのか気になる方は、タトゥーはどれくらい持つのかにまとめてあります。
まだ決まらない? まったく普通のことです
気持ちだけを持って来て、大好きなデザインを持って帰る方はたくさんいます。一緒に花を見つけていく時間は、この仕事でいちばん好きな部分のひとつなので、話しに来る前に答えを出しておく必要はありません。
その会話を始めてみたければ、Instagram の @naive.flora.tattoo にDMをください。どの花が合うのか見当もつかなくて大丈夫なので、まず物語のほうを聞かせてください。私たちが始めるのは、いつもそこからです。
そうして考えたことが実際に描かれるとどうなるのか見てみたい方は、コレクションをゆっくり見ていってください。🌿